関西学院中学部図書館

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2004年度関西学院中学部通信「図書館より」



 2005年3月19日発行

 
 インターネット、携帯電話、テレビゲームなど、生徒たちにとって魅力的な、様々な新しいメディアが登場している高度情報化社会においても、私は「読書の普遍性」というものを堅く信じています。それは、司書教諭として図書館を預かり、読書科という教科と担当しているという立場ももちろんありますが、その立場から生徒たちの読書活動による成長をダイレクトに感じ、念を強くした次第です。
 
 中村光夫という文芸評論家がいました。師匠である小林秀雄のように人間たる感覚的な要素を含みつつ、三島由紀夫も絶賛した論理的な文章による、多くの評論やエッセイを著しました。かつて私も『青春と知性』をむさぼり読んだことを思い出します。その中村が、読書について次のような言葉を残しています。

 「今日僕らの周囲にある社会が、人間生活の長い経験と訓練の結果であるように、書籍とは人間がこれまで時の流れに抗して遺し得た知恵の総決算である。そして人間の社会がまさしく人間の社会であり、動物の集団と異るのは、主としてそれが書籍の形で過去の精神を保存し、そこに未来を夢見る可能性を見出したからではないのか。歴史も伝統もすべて人間の精神を高めるに必須な観念は書物から生れ、また書物によって保たれる。」(「読書について」『日本の近代』所収)

 先に挙げた私が思う「読書の普遍性」は、この言葉によって支えられています。生徒たちは放っておいても、インターネット、携帯電話、テレビゲームなどの新しいメディアに飛びつき、マスターしていくでしょう。しかし、放っておいても書籍に飛びつき、マスターする生徒は稀です。

 春休み中、残念ながら中学部図書館は蔵書点検などのため閉館しています。その分、長期貸し出しによって、生徒たちはたくさんの本を借りて帰っていることだと思います。ご家庭におきましても、生徒たちの読書生活を応援していただければ幸いに存じます。


 2004年12月21日発行


 「読み・書き・計算」が学力の基本である。この認識は間違いのないところでしょう。

 最近、新聞誌上において発表された、国際教育到達度評価学会(IEA)や経済協力開発機構(OECD)の調査結果は、非常にショッキングなニュースでした。日本の中学生の学力が諸外国のそれと比べて、低下が顕著であるということ。とくに、読解力が急落の傾向を示しているようです。

 立場上、いろんな学校や団体の、図書館教育、総合教育、情報教育に関する研究会に参加します。そこで、「応用・発展的な学習(調べ学習、レポート、プレゼンテーションなど)をしても、その基礎・基本である読解力が培われていない。どうしても実が伴わない形だけ繕った学習となってしまう。」という意見をよく耳にします。

 先の調査と現場の声について、中学部においても程度の差はあれ同じ傾向を示しているように思います。

 以上を鑑み、近年中学部では、伝統的な応用・発展的な学習と同時に、その基礎・基本たる読解力の育成に力を入れています。多く、広く、深く、書を読むこと、それが読解力の向上につながると考えています。

 冬休み中、残念ながら中学部図書館は閉館しています。その分、生徒たちは長期貸し出しによってたくさんの本を借りて帰っていることでしょう。ご家庭におきましても、生徒たちの読書の後押しをいただければと思います。3学期、内面的にも一段と成長した生徒たちの姿に出会えることを楽しみにしています。


 2004年7月20日発行


 「真理がわれらを自由にする」

 国立国会図書館のホールに大きく刻まれている言葉です。全国の図書館員の胸に刻まれている言葉でもあります。戦後すぐに公布された国立国会図書館法の前文に記されています。

 前文を起草したのは、歴史家であり国会議員でもあった羽仁五郎です。羽仁は、国を創る礎は国会にあると考え、国会のブレーン役である国立国会図書館の民主による充実を図りました。

 「図書館は明日のためにこそある」とは、羽仁の言葉。明日の国を担う、世界を担う中学生には図書館が必要不可欠です。

2004年度関西学院中学部通信 - 関西学院中学部図書館

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