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2009年度関西学院中学部通信「図書館より」


 2009年7月18日発行


 村上春樹さんの新作『1Q84』が発行部数200万部を突破しました。本書で重要な役割を果たしているジョージ・オーウェル『1984』、チェーホフ『サハリン島』、『平家物語』が再び脚光を浴び、管弦楽曲であるヤナーチェク「シンフォニエッタ」のCDは増産。出版社の販売戦略も去ることながら、日本の豊かな出版文化、読書状況健在なりを、「見える」かたちであらわしているように感じます。


 「読書というのは比較的長い時間性の中で行われる継続的な営為だ。」 読書という行為は、すぐに「見える」かたちで結果が出るものではありません(個人的には教育という行為も同じだと考えます)。読書をしてもすぐに「見える」かたちで結果は出ません。しかし継続的に読書をすることによって、かたちとして「見えない」ものごとを得られます。村上さんの言葉を援用して、生徒に強く伝えていきたいと思います。


 「小説家とか問題を解決する人間ではない。問題を提起する人間である。」 本書で挙げられているロシアの文豪チェーホフの言葉が、継続的な読書によって得られる「見えない」ものごとの一端を示しています。本のなかに込められた問題に触れ続ける、考え続けることそのものが、かたちとして「見えない」ものごと。それは豊かに生きることではないでしょうか。さまざまなことに疑問や悩みを抱いて、それらを解決しようとする営みは、豊かな人生を送るための肥やしなのです。


 夏休みも何日か図書館を開館しています。クラブのついででも構いませんので、図書館の利用をお勧めいただければ幸いです。読書を通して問い続ける=豊かに生きる営為を重ねる生徒たちにご支援を。

2009年度関西学院中学部通信 - 関西学院中学部図書館

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