中学部は、十年一貫教育の最初の3年間にあたり、「学ぶ」ことの基礎を固める大切な時期です。その準備教育のひとつが、「読書」の授業です。
中学部の生徒は中学部図書館の4万冊の書物と、大学図書館の150万冊の書物や資料も自由に利用できます。本を読むことは、すぐれた先人たちの考え方を知り、意見を交わすこと。新しい世界に目を開き、課題を見つけ、自ら知の探求者となることです。人類と自然に対する愛と関心が、課題発見の出発点になります。
3年生が自分で調べてまとめたリサーチレポート
これからの社会では、自分の考えや思いをみんなに示すことが求められます。「読書」の授業では、本を読むことをもとにして、みんなに伝えるための文章を書く能力を高めます。それは、物事を深く考えることにもつながります。
図書館を中心として、いろんなところから必要な資料を集め、内容を整理してまとめます。それについて深く考え、自分の文章として発表することを学びます。これらの基本ができていれば、コンピュータなどの新しい道具も簡単に使いこなすことができます。「読書」の授業を通して、樹木が年輪を刻むように、思考の節をつくり、着実に成長してくれるよう願っています。
10分間読書は読む力の減退、読書量の減少への対策として、「朝の読書」に範を得て始められました。読書科や各教科の協力で、週1〜3回授業はじめに10分間行われます。始業のチャイムと同時に全員で黙読し、10分経過後、読んだ本の書名やページ数を読書記録カードに記入します。
入学前の推薦図書
- 合格者招集日に4冊を推薦、販売
- ルイス『ライオンと魔女』やピアス『トムは真夜中の庭で』など
- ブックトークの実施
- 中学部図書館オリエンテーション
- 大学図書館オリエンテーション(中学部生徒証で利用可能)
- 公共図書館見学
図書館とは−歴史、種類、分類、目録など
図書館の歴史
- 図書館の種類(公共・学校・大学・専門)
- 図書の分類
- 図書の目録
- カード目録の原則
- カード目録の作成
- コンピュータ目録(OPAC)
本の部分の名称
- 本の流通
- 本の未来
吉野源三郎『君たちはどう生きるか』より
- 教養書と文芸書
- アメリカ式読書法(コンポジション理論)
- トピックセンテンスとサポーティングセンテンス
- パラグラフの仕組み
- アウトラインをつくる
- サマリーを書く
- 読書の方法とスタイル
梅棹忠夫『知的生産の技術』より
- コンピュータによるデータベースの原理
- B6カードを使った演習
- 友達の人物カードの作成
- 「兵庫県内の市町村」など、テーマごとのカードの作成
知識獲得法−百科事典、参考図書、新聞など
百科事典
- 誕生日のゆかりの人物について、百科事典の索引からスタートし、関係事項を調べる
- 参考図書(来年度実施予定)
- 新聞
- 切り抜きの資料化(戦争関連の記事)
- 事実と意見の違い
修学旅行の行き先(長崎など)に関する概要を学ぶ
- 仮テーマを2つ導く
- 仮テーマの1つから疑問点を10点以上導き、その1点を中心に、面接により、最終的なテーマを決定する
- テーマ例:
- 「なぜ長崎に原爆は投下されたのか」
- 「島原の乱は宗教戦争なのか」
仮テーマに基づき、参考文献一覧カードを作成する
- 仮テーマに関する参考文献を網羅する
- OPAC、書誌類、テーマに関する本の参考文献表などから
- 仮テーマに基づき、参考文献大要カードを作成する
- 調べていく上で有用かなど、参考文献の大要をカード一枚にまとめる
- 中学部図書館はもちろん、大学や公共図書館の本も利用する
- 以上から、仮テーマに基づき、調べていく上でもっとも有用とされる参考文献を2冊を各自が購入する
木下是雄『レポートの組み立て方』より
- 目標規定文の作成
- レポートのグランドデザインを構築
- 200文字前後の文章で表現
- アウトラインの構築
- 一度目は各自で自由に組ませる
- それをもとに、面接によって、一応の確定版を組む
- その後、探究の進展によって、変更する場合がある
アウトラインに沿ったカードを作成(約50枚)
- 情報源は本が中心
→インターネット情報はとりあえず禁止
- 高校における情報科との兼ね合い
- 本に慣れ親しむことを優先
- 情報の確からしさがまちまち
- 情報カードは必ず1枚で完結(200文字程度)
→そのままレポートのパラグラフに
- トピックセンテンスを明確にする
- 文章を中心に、表や図なども
- 出典を必ず明記する
論文用紙の使い方、文章の書き方
- 仮表紙と目次
- 序論と結論
- 本論
- 註
- 修学旅行による体験学習
「かたち」になる→生徒のモチベーションに
- 以前は美術科との協同で製本していた
レジュメの作成
- プレゼンテーション
- 基本的には各自に配布するレジュメと口頭による説明のみ
- 各グループでプレゼンテーションを行い代表者を決める
- 各グループの代表者はクラス全員の前でプレゼンテーションを行う
- 各グループの代表者以外はそのプレゼンテーションに対する質問を行い、代表者はそれ対して回答する
- 聴衆はそれを記録する
3年間の読書生活でもっともよかった本についての思いをカード一枚に記録する
- カードは整理、保管され、後輩たちが本を読む参考にする
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